大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和44年(オ)1113号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人木崎良平の上告理由について。

原審の事実認定は、挙示の証拠関係に照らし、首肯することができる。そして、右事実関係によるときは、本件事故は、貨物自動車を所有して運送業を営んでいた訴外山中喜四蔵が被上告会社との運送契約に基づき自己の営業のためその被用者である訴外桂田三一郎をして従事させていた加害自動車の運行中に生じたもので、被上告会社は山中との右運送契約上の注文主にすぎず、原判示のような事情から加害車の車体に被上告会社の許諾を得てその社名が表示されていたとはいえ、右自動車の運行自体については、被上告会社はなんら支配力を有していなかつたものというべきであるから、右事故につき、被上告会社に自動車損害賠償保障法三条にいう「自己のために自動車を運行の用に供する者」としての責任を負わせることはできないとした原審の判断も、正当ということができる。原判決に所論の違法は認められず、論旨は、ひつきよう、原審の適法にした事実の認定を非難するものか、あるいは、その認定にそわない事実と独自の見解を前提として原審の判断の違法をいうものにほかならず、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例